日本の夏の水分補給

梅雨に入り、しとしと雨…ではなく、びっくりするような豪雨と蒸し暑さが続いています。


熱中症対策のセミナー準備をしながら、自分が家にいながら熱中症になりそうです。


ミント香料入りのマウスリンスで果たして暑さがしのげるのか…など、自分でも実験をしてみたり、白くまのカップかき氷を食べたり、冷たい麦茶を飲んでみたりしています。


セミナー用に、海外の文献をたくさん集めてみてはいますが、水分補給や暑さ対策の面から見た日本の食文化、食事・飲み物からのアプローチって本当に多彩で、面白いなと改めて思うところです。


さすが、暑さプラスすさまじい湿気に長年耐えてきた食文化の、「ここがすごいぞ日本食!」と思えるところをまとめてみます。


① 食事の水分含有量

日本食の基本である”一汁三菜””の食事をとれば、「水分をたくさん取らなくては!」と意気込まずとも、自然にある程度の水分を摂ることができます。

主食となる、ごはんの水分は60%で、ゆでスパゲッティ60%とそう変わりはしませんが、水分量軒並み30-40%程度のパンと比べると倍程度の水分を含んでいます。夏の風物詩、そうめんになると70%が水分で、バテ気味でも食べやすいのも納得できます(パーセントは文部科学省 日本食品標準成分表 2015年版(七訂)より)。私はいたって脱水に陥りやすいタイプなのですが、夏の朝や汗をかいた日などにパンやパスタを食べると、段ボールを噛んでいるような気になってぜんぜん飲み込めなくなってしまいます…。ごはんはおかゆにしたり、雑炊にしたり、お茶漬けにしたり、より水分を増やすアレンジもしやすく優秀ですね。

脱水の時は経口補水液!というのを耳にすることも多いですが、日本の食事の汁物はだいたい0.7-0.9 %の塩分があり、汁椀1杯150 mlでも約1gの塩分が摂取でき、これは経口補水液300-400 mlと同程度です。食事がとれる状態なら、経口補水液を買いに走らずとも、消化のよい野菜入りの味噌汁とおかゆで、十分経口補水液の代わりになります。

副菜に夏野菜を使えば、水分も多く、体のほてりを取ってくれる効果も期待できるので、夏こそ手を抜かず、一汁三菜を意識した食事でしっかり水分と糖質、たんぱく質、塩分、ミネラルを補給したいところです。


② 飲み物のバラエティ

運動中の飲み物は、スポーツドリンクを!といった発信をSNSなどで見ますが、実際は水やお茶って方も多いかと思います。日本の「お茶」のバラエティって、中国のおかげもあって本当に多彩です。緑茶、抹茶、麦茶、ほうじ茶、ウーロン茶、プーアール茶、どくだみ茶、ちなみに写真のお茶はコーン茶、その他もろもろ…。「〇〇茶って、運動の時の水分補給にいいですか?」というような質問と、まぁよく根拠の分からない答えを耳にしたりします。私の印象では、うーん、たいしてデータがないから分からない…という感じです。市販の飲料はミネラル分の濃度などが公表されているものもありますが、ご家庭で用意する場合の抽出法(水だし、煮だし、茶葉の量、お湯の温度、抽出時間)によっても違いが大きいでしょうし、「緑茶」といっても市販の飲料でも商品によっていろいろです。

ひとつ言えるのは、「運動中に水やお茶は絶対NG!!」みたいなことは決して万人に当てはまることではないということ。水で十分OKなケースも多いのです。

あれはダメこれはダメといろいろ制限を設けて、甘い感じが嫌いなのに無理やりスポーツドリンクを飲んだって、飲む量は増えませんよね…。自分がおいしく感じられて十分に水分補給できる飲み物を飲むことや、特に強化合宿や長時間の試合の時にはどんな水分補給・栄養補給をしたらいいか相談できる人を持つことが大切なのでは?と思います。


③ 体を冷やす食べ物や方法

冷たいそうめんと、そのさっぱり感を引き立てる薬味。冷やし中華、冷麺、もずくときゅうりの酢の物、冷や汁、すいか、かき氷、棒ジュース、冷凍みかん…。はやりのアイススラリーをいかに導入するかに頭を悩ませなくても、日本の食文化には効率的に体を冷やしてくれる食べ物が浸透していると思います。あとは食器と見た目も!例えば、茶道では夏のお茶会の時は、木地のお菓子器に涼しげなゼリー菓子や水をかたどったお菓子を載せて、涼しげな着物(着てる本人は全然涼しくないのですが…)で運んで来られただけで、その場がスッと涼しく感じられたりします。色合いを意識してなんでもかんでもメニューに人参を入れがちな栄養士の皆さま!夏にはそれ、ないほうが涼し気で食欲をそそるかもしれませんよ…。


実際、こうした日本の食文化の暑さ対策への適合性を、ほら、こんなに!みたいにデータ化できるといいのかも知れませんが…。

各国が暑さ対策をして臨んでくる来年のオリンピック。海外の選手やスタッフが「日本食ってすごい!これで暑さも乗り切れる!」と思えるような「おもてなし」で、寿司と天ぷらとラーメン…以外の良さも世界に広がっていくと楽しいですね。

【2023.8 サービス終了】スポーツ栄養相談所 CÓMO COME

あなたをあなたの理想のアスリートに近づける、”オーダーメイドの戦闘食”に着替えましょう。 CÓMO COMEでは一人ひとりのアスリートに合った食習慣を見直す過程を服作りのように捉え、 丁寧に採寸、型紙作成、仕立てと着こなしのお手伝いをいたします。

0コメント

  • 1000 / 1000