スポーツ現場への、差入れの鉄則

夏場のSNSでは、試合の応援に行くときにオススメの差入れ!

などで盛り上がっていましたが、それがどうにも腑に落ちず、

もやっとしていましたので、もやっと感を整理しようと思います。


一言でいうと、スポーツ現場への差入れの鉄則、それは…


差入れしないこと‼


いやいやいや…

テンション下がっちゃいますね。


私も昔は、スポーツを頑張る皆さんの喜ぶ顔がみたいわ❤って、

チームの皆様でどうぞと、意気揚々と差入れを持って行ったりしていましたけれども。


今はしません。


スポーツ栄養を勉強した私なりの理由をご紹介します。


① アスリートの体調を害する恐れがある

例えば、食物アレルギーはもちろんのこと、特に試合前など冷たいものを食べるとおなかの調子が悪くなる人もいたり、食べ物・飲み物の保管状況によって、また手作りであれば作った場所の衛生状態によっては食中毒の原因になってしまったりします。

本人はわかっていても、ほら、アイス溶けるから早く食べて!とか渡されたら、断れないかもしれないでしょう?

レモンのはちみつ漬けにしても、どれくらいきれいに洗った手で、いつハイターしたまな板で、欠けたり錆びたりしていない包丁で切られ、どこに保管してあった容器に入れられているか、わからないでしょう?…少なくとも私は、病院での給食管理も経験しましたが、家の台所の衛生状態に自信はありません。


② アスリートを誘惑し、栄養計画を狂わせる可能性がある

競技・または個人によっては、綿密な栄養計画をたてて練習・試合に臨んでいます。

同じ競技やチームであっても、体格やポジション、タイムスケジュールで必要な栄養は違うこともあります。

減量中などできっちり栄養管理しているアスリートの前に、ほらほらとおいしそうな差入れと、チームメートがおいしそうに食べる姿を見せたりしてしまったら、…悲劇ですね。

手作りのものや栄養表示のないものは特に、目安となる情報がないぶん、見た目で判断して食べたら胃が重たくなった…とかいうことにもなりかねません。


③ アスリートには、ドーピングから自分の身を守る必要がある

見ず知らずの人から受け取った食べ物を当たり前に口にする、という習慣を身に付けてしまうことは、現代のアスリートにとっては大きなリスクです。

もしも差入れの食べ物・飲み物のせいでドーピング検査陽性になった場合、その責任はそれを口にすることを選んだアスリート自身にあります。

そんな、人を陥れるようなことを誰がするの⁉

と思えるかもしれませんが、ドーピングの落とし穴はどこにあるかわからないのです。

例えば、アスリートにプロテインは大事なんだと聞いた人が、完全なる好意でプロテインパウダーを入手し、それを使ったカップケーキを作ってチームに差入れし、そのプロテインパウダーにドーピングで禁止されている物質が混入していて、食べたアスリートがドーピング検査で陽性になったとしたら?

もちろん本当に責任を問われるべきは、プロテインパウダーを製造した会社かもしれませんが、アスリート本人、またそれを提供したチームも責任を問われるでしょう。

カップケーキの材料にプロテインパウダーが入っていたとは知らなかったとしても。



以上、脅しのような話ですが、あり得ない話ではありません。


ですから、チームと食事や補食の提供も含めた栄養サポートの契約を交わしている人、またはジュニアチームの保護者会などで、差入れを順番などで依頼されている場合以外は、


・チームへは食べ物・飲み物を差入れはしない

・アスリート本人の食の好みや体質・栄養計画を把握している家族や親しい友達、パートナー程度の範囲におく

ことをオススメします。


保護者会などでチームへの差入れが求められるところでは、責任問題を避けるためできるだけ個人管理を推奨しますが、やむを得ない場合は、市販のもので、安全に保管しやすく、食べるタイミングが選べ、アレルギー表示等も確認ができる個包装のものがよいのではないかと思います。

なるべく手作りのものや、添加物の少ないものを食べさせたい気持ちは、分かるんですけどね。


よかれと思っての差入れが、アスリートの栄養管理を思わぬ形で邪魔してしまわないよう、気を付けつつ応援を楽しみましょう!


あ、応援しているアスリートはそんなこと全然気にしてない?

…それはそれで、問題!

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