"スポーツ栄養士の図書館"について

世界で戦うアスリートをサポートするなら、世界に通用する栄養士にならなくちゃ。


私がそう思うようになったのは、高校生の時にスポーツ栄養を学びたいと思い始めた時からの夢が、残念ながら、終わった後でした。


大学を卒業してすぐに、プロスポーツ選手への食事提供という夢を叶えた私でしたが、選手と話してはいけない、提供するメニューへの提案は聞き入れられない、上司は調理師という環境の中、自分より若い選手が壁にぶつかりながらも世の中に認めらていくのがうらやましくて、ぶつかりたい壁にさえ届かないところで繋がれているような自分が悔しくて悔しくて悔しくて。焦って、苛立って、暴走して、爆発して、消耗していって、夢はただただ終わっていきました。


キャリアのスタートとしては、大失敗以外のなにものでもないのですが…。

若いうちに、後に世界を舞台に戦うアスリートが身近に存在していたことは、大きな経験だったと思います。今でも、彼らの活躍を目にすると、負けてられないなー!と思います。(⇐単なる負けず嫌い?)


いつか見返してやろうと、管理栄養士の資格取得にむけて勉強を始めた私は、関わった選手たちの活躍、特に世界を股にかけて戦う姿を見ているうちに、どうせなら世界に通用する栄養士になりたい、と思い始めました。


そこで、目をつけたのが…


英語です!


これは武器になります。エビデンスを見つける重要なツールになるからです。

私にとっては、スポーツ栄養という学問を学ぶ、大切なツールにもなりました。


スポーツ栄養士で英語が使えないということは、料理人でいうなら新鮮な食材を仕入れる市場に行かない、というのと同じくらい致命的だと思います。


世界に通用する栄養士になりたかったら、最新の情報を自分で取りに行って、使えるか使えないか自分で判断できるようにならないと。だれかがかみ砕いた鮮度の落ちた情報を鵜呑みにしていて、世界で戦うアスリートのサポートができますか?


…という思いの中から生まれたのが、”スポーツ栄養士の図書館” https://www.facebook.com/groups/757956407985960/ です。


管理栄養士、栄養士、栄養学科の学生または関連職種でスポーツ栄養に興味がある方で、英語を含む文献を読み、専門用語が飛び交うディスカッションに積極的に参加する意思のある方を対象として、週に一度、最新のガイドラインや興味深い文献を紹介しています。理解を深めるため、一部日本語訳も試みています。


会員制のグループなのでメンバー以外見れないし、グループ内の資料は流出禁止なのですが、”「スポーツ栄養士の図書館」開設にあたって”の挨拶が、我ながらよくまとまった(笑)ので、こちらにも張り付けておきます。


ご興味のある方はぜひ!

メンバーは思ったより増えて、むしろびっくりしていますが、主催者らのオタク度に、みなさんドン引きしてないといいな…。



「スポーツ栄養士の図書館」開設にあたって


スポーツ栄養士がアスリートに提供するアドバイスや食事メニュー、または食事や補食そのもの。それにはどんな根拠があるのでしょうか。教科書に書いてあるから?セミナーでそう聞いたから?ガイドラインがそうなっているから?


私が日本のスポーツ栄養で、一番問題だと感じることは、出どころのわからない情報があまりにも多いことです。スポーツ栄養の本や資料なのに、参考文献が一つもなかったり、生理学や生化学の教科書だけだったり。誰の考えなのか、どんな研究を考慮したのかわからない情報ばかりがあふれています。そして結局、私の手元にある20年ほど前の書籍と、現在書店にある本の内容に、大した違いは見られません。


私がIOC Diploma in Sports Nutritionの二年間のコースで学んだことは、

①読んだこともない論文を自分の仕事の根拠にしてはいけない

②本当の根拠は、ガイドラインやレビューではなく、個々の研究にある

③ガイドラインは、環境や対象者を考慮した検討なしに利用するものではない

ということ。もちろんスポーツ栄養だけに当てはまることではないので、本当は大学生の間に叩き込まれなければならない、学問の基本だと思います。


ガイドラインは、それだけ見ればただの規則のようですが、ガイドラインを掲載している文献をきちんと読めば、どんな研究をどんな条件で検討した結果なのかを知ることができます。つまり上記の三点を逆に言うと、①文献をきちんと読めば、②その根拠となる個々の研究にも触れることができ、③環境や対象者を考慮した検討の材料を得ることができる、つまり、それをエビデンスとして使えるようになるわけです。


日本でそうしたエビデンスに基づいたスポーツ栄養士の仕事ができるようになるには、残念ながら日本語の文献を読むだけでは不十分だと思います。世界的に信頼できる最新情報は、基本的に英語で発信されます。この英語への日本人のコンプレックスが、日本のスポーツ栄養の遅れの原因のひとつかもしれません。15年ほど前から本や大学やセミナーや学会で勉強してきましたが、英語の文献を読みだしたら、聞いたこともない情報にあふれていましたから。


英語で書いたり、話したりするのは敷居が高いと感じるかもしれませんが、英語の文献を読める、ということは、エビデンスに基づいたスポーツ栄養の実施には必須だと思います。このグループが、英語が苦にならないメンバーの助けも得ながら、文献を読むことに慣れ、母語で話し合って理解を深める場となり、僭越ながら日本のスポーツ栄養発展の一助となれば幸いです。

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