"それはまだよく分からない"ということが分かる

「スポーツ栄養士の図書館」グループがオープンし、ひと月が過ぎようとしています。



最近はもっぱら暇さえあれば文献を読む、翻訳するの毎日。

なかなか知的な趣味ですね…本人は楽しいからいいのですが。ダラダラとそんなことをしています。



国際オリンピック委員会のスポーツ栄養コース受講中は、本当に読み切れないほどの文献リストを毎月受け取っていたので、時間がとれる時は1日1文献!を目標に読んでいました。

受講が終わってもそれを続けてきましたが、今は「スポーツ栄養士の図書館」のおかげで1日1文献で追いつかないこともしばしばです。


どうも、のめり込みやすい性格でして。



もしかしたら、グループメンバーの中には、聞いたこともない情報や、自分が知っていると思っていた知識の裏側でこんな議論や研究が行われていたことに圧倒されて、ざわついた気持ちになっている方も、いるかもしれません。



でも、それは知識が増えていく中で自然な感情なのです。



横軸に知識や経験、縦軸に自信を示したグラフを目にしたことがおありでしょうか?

知識や経験が、ゼロから少しプラスの方向へ進むと、自信は一気にグンと上昇し、でも知識や経験がもう少し増えてくると、今度は逆に自信はドンと下がり、さらに知識や経験が加わると、ようやく自信がじわじわ上昇してくるというグラフ。ダニング=クルーガー効果というそうです。グラフ自体は出てきませんでしたが、解説の動画がありましたので興味があればどうぞ。日本語字幕も出ます。

この現象、もちろんスポーツ栄養学だけでなく、スポーツや他の分野でも同じことです。

野球を始めたばかりの小学生は、自信満々に「プロ野球選手になります!」って言うけれど、中学校に入って、高校からスカウトが来るようなメンバーを見て、自分の実力を実感して自信をなくし、それでもめげずに続ければ、自分がやってきたことに対して少しずつ自信も湧いてきます。



ただ、これもいろいろな分野でよくあることだと思いますが、一般的に言われていることでも、「それは本当に、本当なのか?」と思って突き詰めていくと、”それはまだよく分からない”という結論に達っしてしまうパターン。



それはそれでOKだと、私は思っています。



その道何十年の研究者たちが、こぞってそう言っているのなら、研究を読んで実践する立場でしかない私が、「でも、本当はこうなんです!自分で試しました!」とか言えませんから、笑。



分からないなんていうのは、無責任でしょうか?


本当は分からないことを分かったように言うことの方が、無責任だと思いますが。



だから、「本当のところはまだ明らかにはなっていないのですが」としたうえで、経験上これがいいみたいとか、こういう研究結果がいくつか出ているのでこういう理由でそれを支持していますとか、とりあえずこう設定しています、といったことはもちろんあります。

日本人の食事摂取基準2015年版(第一出版)の「目安量」などがこれにあたります。十分な科学的根拠が得られない場合に設定した値だということが説明されています。この説明をきちんと理解せずに数字だけみてしまうと、「目安量」を超えていれば100で、下回っていれば0のような考え方になってしまいます。



私も実際、スポーツ栄養の本などを読んで勉強を始めたころは得意げでしたが、勉強するほどにどんどん自信をなくし、もっと勉強しなければとてもサポートなんてできない!という状態が続きました。

スポーツ栄養コースを受講し始めて文献をたくさんたくさん読み、これだけたくさん読んだ中から、自分のサポートをひとつひとつ理由づけしていけばいいのかなとやっと思い始めたところです。


自信があるような日もあれば、新しい情報に出会ってまた自信を無くす日もあります。



勉強したてで、自信満々に話す人の方が一般的には信用できると思えるのは自然なことではありますが。

地味に地道に、じわじわと知識と自信を身に付ける毎日です。


私にとっては、スポーツ栄養を学ぶ=文献を読む+スポーツを見る なので、ただただそれを繰り返すばかりです。



ちなみに、写真の柑橘は庭になっているものですが、パール柑を買って植えたはずなのに、これはポメロじゃないかな?という議論に毎年結論が出ないまま、おいしく食べています。

はっきり分からなくても、そんなに問題にならないことだって、意外とあるものです。


自然も、人間の身体も、分かっていることなんてごくごく一部分ですし。


あ、パール柑もポメロも、九州外の人にはあんまり馴染みがないのかも…。


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