女性にとって、生理は問題なんだ!
ケガを抱えたスポーツ選手が、痛み止めを打って試合に出たりすると、それを称賛するようなコメントがされたりします。
でも、ニコニコ接客しているアルバイトの女の子だって、ほんの10分前までは脂汗を流しながら痛みをこらえて、やっと痛み止めが効き始めたところかもしれないんです。
生理痛がひどい女性にとっては、痛み止めを使って平然とふるまうことは、もはやほぼ日常、ということも珍しくはないのです。
昨年9月のマムシに引き続き、また入院しました。
今度は婦人科でデキモノを取る外科手術です。
実はこのデキモノ、四年ほど前からありましたが、病院に行きたくなくて放置していたものです。
そもそも皮膚科に行くべきなのか、婦人科に行くべきなのか?
場所が場所なので皮膚科で見せるのも抵抗があるし、婦人科に行くのも気が引ける…。
そんな中、昨年、腰を自分で強打し続けないと呼吸もできないくらいの生理痛が一時間くらい続き、ほんとに死ぬんじゃないかと思ってようやく婦人科へ向かいました。着いたころには痛み止めが効き始めていて、それはそれでまた居心地の悪い受診ではあったのですが…。その時も結局デキモノの相談をする勇気は出ず。
でも一度婦人科に行ったことでハードルが下がり、ちょっと大きく目立ってきたデキモノの相談に行き、無事手術を受けることのなりました。
目線の高さまで上がっていって思いっきり足を開かされる衝撃の椅子も、目が真ん丸になったのは最初だけで慣れてしまえば平気なもの…。人間の順応性ってすばらしいです。
たいした手術ではないとタカを括っていたものの、初めての手術室、一瞬で効く麻酔の恐ろしさ、尿管の気持ち悪さや抜いた後の痛さ…。そして手術から四日経った今も抜けない麻酔のせいと思われる頭痛と光の眩しさ。思ったよりしんどく、今もPCの光が眩しいので薄暗いところでサングラスをかけてこれを書いています。でももっと早く受診してもっと早く処置しておけば、体への負荷も少なくて済んだんだろうなと今となっては思います。(ちなみに写真の靴下は、下半身麻酔でも血栓ができないよう圧をかけながら、しかも爪の色で血流のチェックまでできる優れもの!)
今回の経験で思ったことは、私自身にも女性特有の疾患や婦人科受診に対して強い抵抗感や気安く口にしてはいけない、恥ずかしいというタブー視する姿勢が間違いなくあったな、ということです。そこで、婦人科系の異変や悩みを感じている方に受診を勧めるのももちろんですが、スポーツ現場でどうしてもタブー視されやすい「生理」について少し書いてみようと思います。
① 生理がないのは、問題なんだ!
これはまあ、世間的には「分かっちゃいる」ことではあると思うのですが、生理がないという問題を打ち明けられる人、またはそのために産婦人科の受診を考える人って、実際どれくらいいるのでしょう?特に階級制など体重制限のあるスポーツや、細身であることが競技に有利に働くスポーツでは、生理不順や無月経などの問題が珍しくないことは知られていますし、アスリート自身もまあ仕方ないか、とか別にいいや、とか思ってしまっている可能性もあります。厚生労働省の「女性の健康推進室・ヘルスケアラボ」というページ(リンク参照)でも、3カ月以上生理がない場合や、15歳になっても初経がこない場合は婦人科へ相談するよう勧めています.。…が、普段からコンディションチェックの一環として当たり前に月経周期をモニタリングしていたりしない限り、本人が問題視したり周りが気づいてあげるということは難しくなると思います。生理が止まってしまうほど体が通常の代謝を省エネモードにしてしまっている状況は、エネルギー不足が原因として考えられ、その他の健康面にも長期的にみると競技パフォーマンスにも、また女性の一生を考えてもマイナスです。選手やスタッフが女性ばかりでなくてもタブー視せず、当たり前にチェックできる環境づくりが大切だと思います。そういった環境づくりや、生理が来ること、エネルギー摂取を増やすことに前向きな姿勢を持つこと、またその重要性を指導者やスタッフに伝えることにスポーツ栄養士もお手伝いができます。
② でも生理が来るのも、問題なんだ!
私はアスリートではないですが、生理痛がひどい日は仕事の効率がた落ちですし、大事な仕事が入っている時は痛み止めを飲むタイミングの調整など神経を使います。顔色が悪く見えないようにメイクも力を入れないといけません。普段からスタッフや指導者と、月経周期やどのくらいの生理痛があってどのくらい競技に影響する可能性があるのかを共有できているアスリートであれば、生理期間中に必要以上に気まずい思いをしたり、無理をしたりする必要が少なくなるかと思います。痛み止めが効くまで少し休憩を取ったり、お腹を温めたりする必要があるアスリートもいるかもしれません。痛みで集中力が落ちるとケガの危険もありますから、的確に自分の状態を伝えられる環境づくりが大切です。重要な大会の時に生理のせいでパフォーマンスが落ちないよう、低用量ピルで月経のタイミングを移動させるという方法もあります。ドーピングのリスクはないようですが、副作用のリスクはあるようですし、産婦人科を受診して本人がしっかり理解して使用する必要があるので少しハードルが高く感じるかもしれませんが、生理痛の問題が深刻な選手には、スタッフが受診を後押ししてあげることも必要かもしれません。
以下、低用量ピルについてのリンクをいくつか集めてみました。
私自身もどうしてもネガティブに捉えてしまいがちな生理や女性特有の健康問題。
きちんと自分の体の一部として大切にして、アスリート一人ひとりにあったコンディショニングの当たり前の一部として、タブー視せずに向き合えるよう、スポーツ栄養士として支えていけたらと思います。
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