栄養でパフォーマンスを上げる方法
オーストラリアでワーキングホリデーをしていた時に所属していた、Sunday Sundowners Toastmasters club ( https://sundaysundowners.toastmastersclubs.org/ ) のオンライン例会に最近ゲスト参加させてもらって、これまでになくオーストラリアを再び身近に感じていたら、今度はCompeat Nutrition ( https://www.compeatnutrition.com/ )が2日間のオンラインスポーツ栄養カンファレンスを企画してくれたというので、喜んで参加してきました!(もちろん、おうちで。)
田舎暮らしで、交通の便は悪いけれど、海外の学会とかも行きたいなーと思ってはいましたが、コロナの影響でこんな形で勉強の機会があるとは。
すべてがスッと入ってくるほど英語の聞き取りができるわけではないのですが、スライドからの視覚情報と、気になるところは参考文献をメモして後で読み込んで…。
一番印象に残ったプログラムは、スポーツ栄養の研究を実践に生かす方法について。
オープンアクセスのレビュー(文末参照)に沿った話だったので、文献を見直しつつ、考えたことをご紹介します。
① エビデンスを見極める
今月のサプリメントについてのウェブセミナーでも強調したのですが、例えばサプリメントを使う時などは、商品説明を鵜呑みにするのではなく、この競技やこの試合で効果や安全性があるというエビデンスを探さないといけません。でも、それは単に「サッカー選手でクレアチンを使ってパフォーマンスが向上したという研究」が見つかればいい、というわけではありません。なかなか日本人が教育で学ばないところではあるのですが…きちんと「批評」しながら研究の質を見極める必要があります。そのポイントが9つ(!)紹介されました。まずは、メカニズムの研究なのか応用の研究なのか。動物研究をそのままヒトに当てはめるのにはいろいろな問題があります。2つ目は、研究参加者と実践したい対象者の違い。若い人と高齢者では逆の結果が出た、という例も。3つ目は研究デザイン。実際の試合の状況とかけ離れた設定も少なくありません。4つ目は食事の管理。ふつう、こういう食事摂取はしないよね、という条件も珍しくないよう…。5つ目はデータの妥当性や信頼性、6つ目はデータ分析やデータの示し方。この辺りは私も改めて勉強中ですが、奥が深いです。7つ目は実用性、8つ目はリスク対効果分析、9つ目は介入のタイミングでした。研究論文の批評は、IOC Diplomaの課題でも取り組んだのですが、見極めるには幅広い知識も時間も必要で、簡単ではありません。研究者の意図をきちんと理解したり、類似する研究との違い、包括的なレビューでの視点も参考にしながら、しっかり見極められるようになりたいですね。
② パフォーマンスの向上=エビデンス×応用力
こちらも、わかってはいることなのですが…。下の図のとおり、いくらエビデンスのある栄養戦略についてが分かっていても、それをさて!じゃ!やってみよう!といったところでパフォーマンスが上がるサポートができるわけではなくて、実践のための地盤である、技術とか信頼関係とか教材とかがないとうまくいかないよね、ということです。研究者ではないながら、IOC Diplomaで文献をたくさん読み込むことや情報を見極めることを学べた、とはいえ現場経験やコミュニケーション力はまだまだな私(自覚はあるのでトレーニングはしてますけどね!)。「スポーツ栄養士って、ごはん作ってくれる人?」くらいのところに飛び込んで、関係づくりや実践力が求められるものの、エビデンスの部分にはどうも自信が持てない人もいるような、日本のスポーツ栄養士(もちろん、がつがつ勉強している人もいますけどね!)。実践力を身に着けに経験を積もうと考えはしながら、「スポーツ栄養士の図書館」での、日本のスポーツ栄養のエビデンスの部分を底上げする働きかけのほうに力を入れている私のやり方もあながちこの図の考え方に反していないよね?と確認しつつ、やっぱり自分自身の実践力を付けていくための努力ももうちょっと頑張らないと、と改めて思うところです。
カンファレンスで気になった文献を読み進めつつ、小出しにご紹介してみようとは思いますが、それにしても、こんな田舎の家にいながら世界の研究者、アスリートの話が聞けるとはぜいたくな時間でした!
コロナ終息後には世界が変わる、とはいいますが、もしかしたら田舎暮らしの不便さとか、物理的な距離の問題とか、以前とは捉え方に変化があるかもですね。
田舎暮らし、おススメですよー!
参考文献:Close et al. Sports Med. 2019;49(Suppl 1):25-37.
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