食習慣を「身に着ける」

食習慣というのは、身に着けるものです。



その発想から、CÓMO COMEでは、食習慣を服のように「着こなす」ものだと捉えています。


猫は快適そうに毛皮を身に付けていますが、人間は、猫のように季節に合わせて毛皮が生え変わったり、体のサイズに合わせて毛皮が自然に伸び縮みしたり、一生着の身着のまま、というわけにはいきませんから、環境や年齢、目的に応じていろいろな服を着こなして生きていますよね。

また食事も、猫のようにキャットフードと水さえあれば大丈夫、というわけにはいきません。


自分に合った食習慣を身に付けて着こなすってどういうことなのか、

①サイズ、②デザイン、③素材、④アクセサリー の4つの視点から考えてみました。


① 自分に合ったサイズの食習慣

自分に一日に必要なカロリーはどれくらい、一回のごはんの量はどれくらい、おやつはどれくらいならOK…といったところが掴めているかどうかが、自分に合った食習慣のサイズ感を掴めているかどうかの目安になりそうです。糖尿病や腎臓病の食事療法ではこの辺りが重視されていて、サイズ感をうまく掴むシステムができているのではないでしょうか。

ファスティング(断食)やチートデイ(暴食)を無計画に繰り返すような食習慣では、身動きが取れないほどコルセットで締め上げているか、はたまた素っ裸かといった具合で、自分に合ったサイズ感は掴めないのではないかと思います。

栄養士の仕事は、一人ひとりの状況や目的に合わせてちょうどいいサイズを採寸し、サイズに合った服が用意できるよう型紙を作ることにあると、私は捉えています。


② 自分の好みや目的に合ったデザインの食習慣

近所の草刈りをする時と結婚式に参加するときの服が全く違うように、同じ人であっても目的に応じて食事も変幻自在であることが必要です。毎日ひたすら同じ食事を食べていれば完璧!というものではありません。

フィギュアスケートの選手が学校の制服やジャージから試合の衣装に着替えるように、アスリートの食事は時に一般的な食事とは全く異なるものになります。それは生活習慣病予防のための健康食ではなくて、勝つため、試合で最高のパフォーマンスをするための食事です。でも、いつでも極端な食事をしているわけでもありません。いろいろなデザインの食事を計画的に摂ります。スポーツ栄養士は、試合に向けて計画的に食事をデザインし、着こなしをサポートします。もちろん、一人ひとりの好みも考慮して。シンプルなものから凝ったものまで、食は自由自在です。


③ 食習慣を織りなす素材

口に入れるもの、自分の身体を作るものはできるだけ良いものを、と願うのは自然なことです。自分のサイズ感を掴み、自分に合ったデザインの食習慣を身に着けた上で、お財布と相談してその素材の質を上げることができれば、よりカッコよく、快適に着こなせるかもしれません。

ただ、サイズ感やデザインを考える前に素材にこだわりすぎてしまうことには危険もあります。いくら質の良いジーンズでもフォーマルな場には合いませんし、見るからに質の良いスーツでも寸足らずやブカブカではうまく着こなせません。食材にそんなにお金をつぎ込まなくても、自分に合った食習慣を身に着けることは可能です。


④ 自分の着こなしやTPOに合ったアクセサリー

栄養、というとサプリメントを思い浮かべる方も多いようですが、サプリメントはその日の着こなしや目的に合わせて考えるアクセサリーのような存在だと、私は考えています。老若男女問わず、どんな人にもいい効果があります!というものではありませんし、サプリメントを提案するにはまず、その人の普段の食習慣や病歴、使用目的などを知る必要があります。

勧められるがままに?またありとあらゆるサプリメントを摂取している人は、自分の服装やTPOも考えずにアクセサリーをじゃらじゃら重ね付けしているように…私の眼には見えます。とくにアスリートでは、サプリメント摂取の場合はドーピングのリスクも考慮しなければいけないので、うかつに手を出すのは危険でもあります。


以上より、まずは自分のサイズ感を正しく捉え、目的に応じたデザインの食習慣を着こなし、それから素材にこだわったりサプリメントを検討したり、という順序がよいかと思います。


食習慣を服の着こなしに例えると、栄養士は型紙屋やデザイナー、ファッションアドバイザー、シェフはおしゃれ着のデザイナー、仕立屋といったところでしょうか。


ただ、服の着こなしと同様、実際に毎日着こなすのは型紙屋やデザイナー、仕立屋、アドバイザーではありません。


体重計や定期的な健康診断などで、ときどき食習慣の全身チェックをしながら、自分に合った食習慣を楽しく着こなしてみてください。

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