美の基準

「彼ら」に会うまで、私は自分の肌の色が他の人に比べて黒いのがコンプレックスでした。

外にいる時間は長いし、野球が好き過ぎてずっと見ているから、日焼けしてしまうのはいくら対策しても仕方がないことではあったけれども、色の黒さが目立つような淡い色や白い服はなるべく避けたり、少しでも明るい色のファンデーションを選ぼうとしたり、浅黒い肌を見せるのが嫌だから、夏でもなるべく肌を露出しないようにしたり、無意識というかごく当たり前にそうしていました。


「彼ら」、広島カープのドミニカ共和国出身の野球選手やスタッフに出会ったのは、大学2年生のころ。

当時、お客さんなんて数える程しかいなかった二軍の球場で、全然空気なんか読まずにゲラゲラ笑ったり、音楽が流れればダンスしたり、女性と見ればだれ彼構わずナンパしているような(※今はお客さんも多いし、そんなことないはずです、笑)彼らを初めてみた私の感想は…ただただ素直に「この人たち、なにがそんなに楽しいんだろう?」という疑問でした。それも失礼に当たるのかもしれないけれど、エンターテインメント的な単純な好奇心でした。

球場に通ううちに、カタコトなら日本語も通じることがわかり、日本に生きづらさしか感じていなかった私はついに聞いてみました。「ねぇ、なにがそんなに楽しいの?」…彼らの答えは、「楽しくないよ!」。思いがけず、日本での「生きづらさ」で意気投合し、「ドミニカは楽しいよ!」と教えてもらって、気づけば何度もドミニカまで遊びに行って現在に至っています。


出会ったばかりのころ、彼らに口々に尋ねられた悲しい質問。「あなたはなんで黒人怖くないの?」…怖くないよ、日本で同じように生きづらさを感じながら、それでも明るく生きている人たちだって知っているから。


ドミニカ共和国の旅行中には、びっくりするほどまつげが長くて小顔でナイスバディな美男美女にたくさん遭遇しました。黒くて、美しい人たち。わたしのコンプレックスは、肌の色からドタドタした歩き方に変わり、きれいに歩く練習をしたり尻トレをしたりするようになりました。

日本でもファンデーションは肌に合った色を探すようになったし(なかなか限られるけど)、夏には色の薄い涼しい服をきて、焼けた肌に映えるゴールドのブレスレットをするようになりました。ちょっと肌が黒くたって、健康的で引き締まって見えるし、ムダ毛も目立たないし、いいじゃないか!

白くならなくては!という呪縛から解放されると同時に、中学生くらいから縛られていた、もっと痩せなくては!という呪縛からも解放されました。子どもみたいな、セクシーじゃない体形はある程度仕方ないにしても、多少鍛えてメリハリをつけることはできる!痩せたって喜ぶのではなくて、自分の体調のための下限体重を下回らないように気を付けて食べるようにもなりました。


…そしたら、日本でも、海外でも、どこでも、そんなに生きづらさを感じなくなってきました。


確かに、白くて細くてきれいな人もいる。

だけど、白くなくて、細くなくてきれいな人だって、いくらでもいる!!

みんなが無理やり白くて細くてを目指したら、ビタミンD不足で骨にも悪いし、エネルギー不足で健康にも悪い。きっと、そんな状態では本当にきれいではいられないはず。


世界中のどこにいても、白くなくても細くなくても胸張って堂々と歩けるように。


今、世界で「色」が注目されていますが、誰かと比べての優越感や劣等感ではなく、自分という存在をきちんと受け入れるだけの「自信」を持つことも、この問題の緩和の一助になるのではないかな、と思います。(あと、日本人女性のやせの問題にも!)


あんまり栄養の話ではないけれど、栄養にも少し関係のある、最近思うこと。

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